2010年8月16日 16:18
京都のお盆と花
仏教用語の盂蘭盆会の略が「お盆」です。京都では、8月13日から16日まで旧盆でご先祖をお迎えします。
地域や宗派によって違うと思いますが、 冨田屋では、10日には、千本えんま堂へ出向きお線香をあげて、鐘を撞いて(迎え鐘)、おしょうらいさま(お精霊様)をお呼びし、迎え火をおこしてお墓でお迎えします。昔は、お墓からちょうちんで先導して家に帰ってきたと聞いています。自宅のお仏壇は、仏具・お花・牛馬・季節の野菜果物・精進料理の仏膳をお供えして待っています。仏膳は、朝昼晩と我が家はお精進のメニューが昔から決められています。台所に立ち、小さいお膳に盛り付ける母の姿を思い出させてくれます。16日は、「大文字の送り火」です。朝からアラメとご飯を炊いて最後のお膳をお供えします。「追い出しアラメ」と言って黒い炊き汁を門
口に流します。夕刻、京の山の夜空には火が灯り、おしょうらいさまが帰っていかれるのを静かに見送ります。盃にお酒を並々と注ぎ、「大」の字を盃に写して飲み干すと、ご先祖様からのご利益がいただけるそうです。「又、来年お待ちいたしております」と心に唱えながら、闇の中に光る火が少しずつ消えていくのを見つめていると少し物寂しく思えてきます。お盆は「魂祭り」とも言われていますが、お花は、温かいお迎えに必要なものです。
お盆に欠かせない花は、ハスです。ミソハギ・ほおずき・おみなえし・菊・スターチス・クルクマ・キキョウ・トルコギキョウ・りんどう・アスター・グラジオラス・リヤトリス・鉄砲ゆりなども、お盆のお供え花です。
私達は、先祖があって今生きています。守られて暮らしています。
暮らしていけることに感謝。つながりにありがとう。いつもご先祖から守っていただいているような気がします。
昔は、お盆は大変だと思っていましたが、歳を重ねるごとに、今はいない母や父やおばあさんと一緒に食事が出来、思い出が沢山よみがえる盆の行事は、人の心を安らげて、寂しくない守られているんだと思えるひと時かもしれないと感じるこのごろ。悩み事があったら、いやなことがあったら、お墓に足を運びたくなるのも、こんな思いからかもしれません。
大きな力で守られている私達は、どんなことでもやり遂げる勇気さえ頂きます。「一人じゃない」そんな気になるお盆があってよかった。
京都に大文字の送り火があってよかった。そう感じる、暑い夏です。
★六道珍皇寺 (六道まいり)の迎え鐘も有名です。
読み込み中です...