2010年8月10日 14:52
夏のしつらえ
冨田屋の簾(すだれ)に足代(あじろ)に葦障子(よしずしょうじ)の奥座敷は、ほんとに夏らしい風物詩。
見ているだけで涼しさを演出上手。エアコンより温度は暑いでしょう。でも、風が流れるたびに簾がゆれる。
すだれを通しての目が庭の緑を透き通らせる。草木の匂いは戸口から葦の障子を潜り抜けて縁側に消えていく。足代は足元にひんやり感を伝えてくれる。昔は「花氷」を置いたんでしょうか?花などを入れたまま凍らせ、氷に封じ込めたいつまでも美しく咲き誇った氷花。座敷において氷を通した風が冷たい・・・
水の中に咲く「水中花」も目が夏を感じさせる、そして心に涼やかな潤いを与えます。耳から感じる音の優しさや夏ふさわしい響きは「風鈴」。キーンという高音は、まるで夏の虫の鳴き声にも聞こえる。我が家で出てくる「涼を呼ぶ」夏の風物詩も、ちまたではだんだん見かけなくなってきた。気持ちだけでも涼しく考えた昔から、現代では、エアコンが快適な温度を保ってくれる。情緒がなくなったのか、季節を忘れたのか、快適なのか・・・考える。
昔の人は、ほてるような体でも、心は涼しかったかな?冷えすぎるぐらいエアコンをきかせた現代の部屋の中にいる人々は、心も冷えすぎていませんか?奥座敷で簾を見つめながらうちわを仰ぐ私がいた。
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