2010年7月
2010年7月15日 15:52
つくばいの水
突然の雨に手水鉢[ つくばい]の中が踊る。傾けた「くばい柄杓」が流れていきそうなそんな光景。
飛び石の先は灯りを忘れた石灯籠。杉皮の塀は雨にぬれて水分を含み益々赤黒く感じる。
庭の景色が洗われて、底深い緑が鮮やかになっていく。
あっという間雨ざらしの廊下も百年以上濡れたり乾いたり繰り返しているのでしょうね。
松の廊下の丈夫なこと、雨にも風にも負けず力強く歴史を残してくれています。
負けないで負けないで、家も庭も住んでる人も守り続ける大変さを感じています。
誰かが守っているからこそ、歴史の感じる癒しの空間があるのですね。
先人に感謝。負けないで頑張ろう。
今日も、茶席に向かう枝折戸(しおりど)を支える四つ目垣(よつめがき)が痛んで傾いてきています。
ふー 庭師さんの修行をしたいものです。
2010年7月11日 16:11
遣らずの雨 (やらずのあめ)
今日は、突然雨が嵐のようにふってきたころ、お客様がいらして、ずぶぬれで、「こんなわかりにくい地図を出して」とすごい剣幕で怒鳴って入ってこられた。タオルを出したり、靴を乾かしたり、大騒ぎ・・・
帰られるときには、雨もやみご機嫌で帰っていかれたが、天はこの雨で何をもたらそうとしていたのでしょう。
成功者が口にする言葉に「天が見方をしてくれた」
タイミングよく降ってきた雨や吹いて来た風に感謝をして受け止めた時、結果的に天さえも見方につけることが出来るのでしょう。
又 「留客雨(りゅうきゃくう)」人が帰れなくなるような急な土砂降りの雨。 恋人を帰したくない・・・そんな気持ちが言葉になったのかも・・・
夕刻には、雲間に明かりが、雲が演出する色々な模様は、人生のようなもの。空に雲がなかったら、どんなに寂しいでしょうか。空を心に見立てたら、心に雲がかかったら、ゆっくりのんびり雲が流れていくのを待ったほうがいいのでしょうね。雲は絶えず流れていることを忘れずに・・・変わり行く景色を客観的に眺めています。
2010年7月 7日 15:46
雨のたなばた
今年も雨の七夕ですね。
こんな伝説が・・・「7月7日に雨が降ると、天の川の水かさが増し、織女は向こう岸に渡ることができなくなる。つれない月の舟人は織女を渡らせてはくれない。牽牛と織女は天の川の東と西の岸辺にたたずみ、お互いに切ない思いを交しながら、川面を眺めて涙を流す。すると、そんな2人を見かねて、何処からともなくかささぎの群れが飛んできて、翼と翼を広げて天の川に橋をかけ、織女を牽牛のもとへ渡す手助けをしてくれる」。
織姫と彦星は、夫婦です。1年間一生懸命働いて、あわせてもらえるたった1日なのに・・・
冨田屋では、色々な色の糸を三方に乗せ、塗りのお盆に天の川を見立てたそうめんと、水に浮かべた梶の葉を竹飾りと共に蔵の神さんに飾ります。梶の葉は、大きくて願い事を書いて笹につるしたと言う節も・・・
笹は、生命力が強く、繁栄を意味し、笹の葉寿司があるように、殺菌作用もある葉っぱ。
お飾りには、すべて意味があり、色々な願い事を込めてのことです。すべてに魂があります。
2010年7月 4日 12:15
夏のお菓子
「葛桜」くず粉を溶かし餡(アン)を包んだ透明感のある、涼しげなお菓子。
夏のお菓子に葛は良く使われます。葛きりなどもひんやりと口に優しい。
「水干菓子」砂糖を煮詰めて着色して、水の流れをお菓子に作る。
日本のお菓子は、それぞれが季節の風物詩。年中行事ごとに特殊なお菓子があり、すべてに意味があります。生菓子、お干菓子があり、名前があります。
日本に季節があってよかった。五感でものを感じる日本人は、見た目、食感、ほのかな匂い、想像の世界が広がるような形、味すべて、風情を感じます。
甘みが暑い夏を忘れさせてくれるような、そんな気がするお茶席のひと時・・・
お菓子が口の中を包んだあと、ちょっと苦いコクのあるお抹茶がほっとする一瞬を作り上げてくれます。
お10時・お3時と食事の合間に、お茶を頂いた昔の人のちょっとしたブレイクを想像して今日もお菓子を頂きます。
2010年7月 3日 15:16
沙羅双樹
今日は、1日雨・・・
なぜか、沙羅双樹の花を思い出した。「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす〜〜〜〜」(平家物語)
お釈迦様が亡くなったとき、四方に沙羅双樹の木があったとか・・・
朝咲いた花は、その日の夜に、花ごと落ちて庭に咲いているように見える。なんと儚い、なんと美しい花でしょう。 真っ白な花びらは、土の上に壊れそうでしっかりと生きているようにも見える。
京都では、妙心寺の東林院でこの時期見られます。
こんな雨の日は、土に落ちた花さえ、透明な花びらが、もの悲しく思えてきます。
どうして、この花が頭に浮かんだのでしょう。外を眺めると灰色でしとしと、ちょっぴり心が何かを求めているのですね。